第19章

結城沙耶と結城和はぱっと顔を上げた。その目には驚きが閃いたが、すぐに緊張の色が浮かんだ。

木曜日に白川おばさんが個展を開くこと、二人は母に一度も話したことがなかった。

この件については、しばらく頭を悩ませていたのだ。

木曜日の休みは、白川おばさん自らが家に来て許可を取ってくれたのだが、母はそのことを知らない。

以前の二人なら、きっと前もって母に伝えていただろう。今回、事後報告になってしまったことの重大さは、彼ら自身も分かっていた。

結城沙耶はひどく怯えていた。母がこれほど真剣な顔をしているのは見たことがない。焦ったように口を開いた。

「お母さん、ごめんなさい。クラスの子に...

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