第40章

藤堂詩織は腕時計を一瞥し、それから加藤琳の威圧的な様子を見て、ふと可笑しくなった。

彼女は自分のバッグを手に取り、落ち着いた声で言った。「加藤補佐、これが一日で終わる量でないことは、誰が見ても分かります。どうせ不可能な任務なら、ここで時間を無駄にする必要もありません」

「あなた!」

加藤琳は言葉に詰まり、藤堂詩織を指差す手が震えていた。「何よその態度は?結城社長に言いつけてもいいのよ?」

「ご自由に」

藤堂詩織は彼女を淡々と一瞥した。

そう言い放つと、彼女は振り返り、一切の未練もなく歩き去った。

ハイヒールの地面を叩く音が次第に遠ざかっていく。加藤琳はその場に立ち尽くし、がらんと...

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