第46章

藤堂詩織は物思いに沈んでいた。

「見て見て」

リリーはまだチャット履歴をスクロールしている。「誰かが突き止めたんだけど、結城社長が昨日着てたスーツ、今日と全く同じものよ。これってつまり、結城社長が一晩中家に帰らず、白川部長を夜通し看病してたってことじゃない」

「だから言ったでしょ、あの二人、絶対何かあるって!」

リリーは「ほらね」と言わんばかりの顔だ。「結城社長みたいな仕事の鬼が、一人のために大事な会議をすっぽかして、自ら病院まで行って看病するなんて。この感情は絶対普通じゃないわ!」

藤堂詩織は口の端を引きつらせた。笑おうとしたが、目頭がじんと熱くなる。

昨日の病院でのことを思い出...

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