第48章

杉山防然は、彼女と結城時也、そして白川詩帆の共通の友人であった。

もっとも、藤堂詩織の友人というよりは、単なる知り合いと言った方が正しいだろう。

藤堂詩織は結城時也の妻であるため、杉山防然とは多かれ少なかれ顔を合わせる機会はあったが、彼は藤堂詩織を好ましく思っていなかった。

杉山防然は、藤堂詩織がいつもおどおどとしていて、生活に男と子供しかなく、結城家の夫人らしさが微塵もないと感じていた。

自分の仕事や趣味を持ち、自立している白川詩帆とは大違いだ、と。杉山防然はかつて一度ならず、藤堂詩織の前で、結城時也と白川詩帆こそがお似合いの二人だと口にしたことがある。

そうしたことが重なり、いく...

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