第49章

藤堂詩織はドレスの刺繍をそっと撫でながら、胸に微かな期待を抱いていた。

もしかしたら、このパーティーは自分を披露する機会であるだけでなく、自分自身を取り戻すきっかけになるのかもしれない。

藤堂詩織は試着室から出て言った。「これにします」

支払いを済ませ、藤堂詩織はドレスを手に店を出た。

時間を見ると、まだそれほど遅くはない。隣の宝飾店に寄ってみることにした。

パーティーのような場所では、綺麗なドレスだけでは不十分で、それに合うアクセサリーで飾り立てる必要があることを彼女は知っていた。

往々にして、ぴったりのアクセサリー一つが画竜点睛の役割を果たし、その人のセンスや力量を最もよく反映...

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