第75章

しかし、彼女と結城時也の状況は、愛情を育むことで解決できるようなものではなかった。

少し考えた後、藤堂詩織はやはり断りを入れた。

「お母さん、明日は会社に早く行かないといけないから、起きるのが早いの。今度一緒に寝てもいいかしら?」

結城沙耶はあまり乗り気ではなかったが、藤堂詩織の機嫌を損ねたくはなかったので、頷くしかなかった。

どうしてか、このところ母の様子がおかしい気がする。しょっちゅう姿が見えなくなるのが、彼女をとても不安にさせた。

けれど、明日の朝、母が会社に行くということは、一日中、白川おばさんと遊べるということだ。そう思うと、途端に嬉しくなった。

二人の子供部...

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