第91章

彼女の声の抑揚につれて、会場のざわめきも次第に静まり、皆が藤堂詩織の次の言葉に静かに耳を傾けていた。

講演が終わるまで静寂に包まれていた会場は、突如として割れんばかりの拍手に包まれた。藤堂詩織に向けられる視線は、誰もが賛嘆に満ちている。

「この方は金田先生のお弟子さんなのか?癌治療に関する見解がこれほど独特だとは。先ほどは自分にも研究ができるのではと錯覚したほどだが、今思うとさっぱり分からない」

「それこそがこの講演者の凄さだ。我々一人ひとりを引き込んでくれる。まるで天書を聞いているような感覚じゃない」

彼らは投資には明るいが、研究に関しては半可通だ。

先ほどの藤堂詩織の講演で、彼ら...

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