第65章

笹谷幽々子は声も出ないほど泣きじゃくり、その瞳の奥を、ひと筋の毒がよぎった。

水宮雪音――絶対に、許さない。

江原翼は苛立ったように笹谷幽々子を突き放した。勢いのまま、彼女はベッドへ倒れ込む。足首に走った痛みに眉がきつく寄った。

『翼さん……そんなふうにしないで』

『笹谷幽々子。いい加減にしろ』

江原翼は吐き捨てるように言い、顔色を落とした。

このまま縋りつけば、翼に嫌われる。

笹谷幽々子はそれを本能で悟っていた。

だから、耐えた。涙を乱暴に拭い、声を整える。

『……分かりました。もう、二度としません』

そう言いながら、笹谷幽々子は部屋の隅――小さな監視カメラへ、ちらりと...

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