第10章 荒野スタート

杉浦杏奈には分かっている。ここからは、逃げられない。

杉浦正弘が信託基金を手に入れるまで、歩く金のなる木みたいな自分を杉浦家から出すわけがないのだ。

彼女がしたかったのは、ただの確認。前の人生で知ったことが、本当に事実だったのか――それを確かめるだけ。

どうやら、全部本当だったらしい。

桃子が毎日玄関口で見張っていようが、杏奈は別に焦らなかった。どうせすぐ働きに出るのだから。

『スターファミリー』シーズン3の契約書が杏奈の手元に届いたとき、彼女はほとんど迷いなく署名した。

署名欄に名前が書かれるのを見届けて、杉浦啓介がほっと息を吐く。

「杏奈。今回の収録は7日間だ。条件も、たぶ...

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