第13章 魚を生で食べる

夜が白みはじめたころ、杉浦杏奈は空腹で目を覚ました。

強張った首を軽く回す。手のひらの傷はもうかさぶたになっていた。昨夜、二度ほど自分で剥がしたせいで、まだじんじんと痛む。けれど、その痛みがちょうどいい。意識を鈍らせずに済む。

無意識に爪先で傷をひっかく。ぴり、とした痛みが走り、杏奈は満足そうに小さく息を吐いた。

ほかの面々も、ひとり、またひとりと起き出してくる。眠気がないわけではない。ただ、腹が減りすぎて眠れないのだ。

昨日一日あれだけ振り回されたのに、番組スタッフが置いていったのは飲み水だけ。食べ物はひとつもない。全員、空腹だった。

杉浦美雪は杉浦啓介の上着を羽織り、顔色悪そう...

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