第37章 オーディション

杉浦杏奈の怪我は、誰の予想よりも早く癒えた。

退院の日、迎えは来なかった。彼女は淡々と着替えを済ませ、その足でオーディション会場へ向かった。

会場は灰原撮影所の第3スタジオ。杉浦杏奈が到着した時点で、外はすでに報道陣に取り囲まれていた。

車を降りた瞬間、背後でいっそう密度の濃いシャッター音が弾ける。

杉浦美雪が来たのだ。

淡いイエローのワンピース。大きく巻いた髪。隙のないメイク。まるで雑誌の表紙から抜け出してきたモデルみたいだった。

杏奈を見るなり、ふっと笑う。

「お姉ちゃん、早いね」

「そっちもね」

並んで中へ入る。背後からは「こっち見て!」「笑ってください!」と声が飛ぶ...

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