第38章 打ち上げ

灰原撮影所の最上階にある会員制クラブで、祝勝会は開かれた。

だだっ広いフロアにいるのは、彼ら二人だけ。

灰原仁司はソファに腰を沈め、視線を杏奈の肩のラインから腰のくびれへとなぞらせて――何事もなかったように引き戻す。目の前のウイスキーを持ち上げ、一口含んだ。

「灰原社長」

杉浦杏奈が振り向く。

「ゴシップ、怖くないんですか?」

灰原仁司が眉を上げる。

「ゴシップ?」

「だって、二人きりで、こんな高級な場所で打ち上げですよ」杏奈はグラスを軽く揺らした。「明日の見出し、私が考えてあげます――灰原グループ跡取り、深夜に杉浦家令嬢と密会。新熱愛か」

ふっと笑い、肩をすくめる。

「...

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