第51章 台風の目

翌朝。――凪いでいた。

台風はようやく去り、海面は灰色の絹布みたいに、つるりと平らだ。

杉浦杏奈は、いつの間にか洞窟へ抱き運ばれていたらしい。眠れたかといえば、ほとんど眠っていない。最後はたぶん、気絶した。

灰原仁司の体力は、正直、異常だった。彼のペースについていけない。

先に手を出したのは自分なのに、最後に耐えられなくなるのも結局、自分。

灰原仁司といるとき、杏奈の感覚はひとつだけ――気持ちいい。

以前、彼には発散が必要だと言った。けれど、本当に発散が必要だったのは、彼だけじゃない。自分もだ。

生まれ直してからずっと、どこにも吐き出し口が見つからなかった。けれど今度は、ようや...

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