第52章 利息

杉浦杏奈は顔を背け、窓の外へ視線を流した。もう、この話はしたくなかった。

自分がまだ何を知っているのか。そこも、もう曖昧だった。

あの吐き気のする笑い声に紛れていた言葉だけは、思い出したくない。少なくとも今は、まだ。

その様子を見て、灰原仁司はそれ以上追及しなかった。

シートに深くもたれ、舷窓の外で渦を巻く雲海へ目をやる。肘掛けを指先で二度、こつこつと叩いた。その仕草は、胸の内で何かを計算しているようにも見えた。

杉浦杏奈も口を開かない。俯いたまま、虎口から滲んだ血をティッシュで拭っていた。やけに丁寧に、執拗なほどに。

血はもうほとんど固まりかけていて、きれいには取れない。取れな...

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