第60章 家族

「毎年1億――ただの養育費にすぎない」

杉浦正弘がそう口にした瞬間、杉浦陽向の呼吸が止まった。

1億。――それが、ただの「養育費」?

杉浦杏奈の実の両親はいったい何者なんだ。養育費だけで、そんな額を平然と出せるなんて。

杉浦正弘は息子の動揺など意に介さず、さらにとんでもない真実を重ねてくる。

「杏奈が25の誕生日を迎えたらな。母親が残した信託基金――百億単位を相続できる」

「……百億……?」

杉浦陽向は喉を締め上げられたみたいで、うまく声が出なかった。

「だから、杉浦杏奈は絶対に杉浦家から離しちゃいけない。信託の全額を手にする、その日までな」

杉浦正弘の表情が、完全に冷えた...

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