第192話人間

若い娘が彼の傍らに寄り添っていた。二十歳そこそこにしか見えない。瞳はとろんと濁り、焦点が合っていない。

クインシーはエレベーターの中にいた。デイビッドの姿を認めた瞬間、ぎこちない笑みが顔に広がる。

「ジョーンズさん、お久しぶりですね」クインシーはにやりと笑った。「そんなに慌てて、どちらへ?」

「部屋に戻る」デイビッドはぶっきらぼうに答え、彼の脇をすり抜けようとした。

だがクインシーは身をずらして進路を塞ぐ。笑みには薄い嘲りが混じっていた。「クルーズでちょっとした騒ぎがあったそうじゃないですか? でもご心配なく、向こうもちゃんと“プロ”として対処してますよ。ジョーンズさんがそんなに神経質...

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