第257章:上訴(パート1)

どうしてそれでいいはずがあるの。

レミーはとっさに首を振った。もしその専門家が本当にデイヴィッドの友人なら、そう簡単に金で動くはずがない。そうなれば、自分が裏でしてきたことはすべてデイヴィッドに知られてしまう。

それでもなお平然としていようとするレミーを見て、デイヴィッドは数秒黙り込んだあと、手を伸ばしてそっと彼女の手首を包み込んだ。

彼の指先は少しひんやりしていたが、触れ方はやさしかった。

「ミュージカルをやる人間にとって、声は何より大事だ。ちゃんと診てもらわないと」

デイヴィッドはレミーを見つめ、落ち着いた声で言った。

「心配するな。僕が連れていく」

レミーは息をのんだ。

...

ログインして続きを読む