第29章口コミで広まる

彼の声は大きくはなかった。だが、静かな湖面に石を投げ込んだみたいに、インスタント麺の匂いのあとにようやく落ち着きかけていた空気を、ずしりと乱した。

アリスは勢いよく振り向き、デイビッドを見た。目は驚愕と不信で見開かれている。「デイビッド? ポイントはあとで本当に必要な時のために取っておくんでしょ! どうして今、こんな……こんな役に立たないものに替えちゃうの? あとで危険に遭ったらどうするの? それに、そんなに食べる必要だってないじゃない。さっき手に入れたビスケットとハムだって、まだ全部食べてないのに」

苛立ちで声が少し高くなる。「どうしてそんな非合理なの?」と言わんばかりの調子だった。

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