第7章

時を渡る眩暈にも似た感覚がまだ完全には消えないうちに、私ははっと目を開けた。再び、見慣れた二〇一七年十一月二十三日の朝。だが今回は、すべてが違っていた。

別の時間軸では、湊斗が二〇二五年の彼のアパートで必死に私を探していることを知っていた。そこには私たちの結婚写真があり、幸せに満ちた三年間分の思い出があることも。でも、おばあちゃんのいない世界は決して満たされることはないということも、私は知っていた。

キッチンからおばあちゃんが朝食の準備をする音が聞こえてきたが、今回の私の気分はまったく違っていた。

もう私は、あの絶望した少女でもなければ、通学路を変えれば運命から逃れられると考え...

ログインして続きを読む