第8章

驚いて顔を上げると、そこに立っていたのは湊斗だった。彼の胸は激しく上下し、その手には重いレンガが握られている。

「湊斗?! どうして……」拘束から抜け出しながら、私は震える声で言った。

「後をつけてきたんだ!」湊斗の声には怒りと心配が入り混じっていた。「君が危ないってわかってた!」

彼は素早く私の拘束を解いてくれると、地面に倒れている蓮司を見下ろした。アドレナリンが引いていくにつれ、湊斗は自分が何をしでかしたのかを悟ったようだった。

「俺……俺、あいつをレンガで……」湊斗は震える自分の手を見つめ、声が揺れ始めた。「まさか……息は……してるのか?」

地面で微動だにせず、血を流し...

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