第22章 恩を一つ借りている

菅田美波はもう彼女たちを一度も見なかった。くるりと背を向け、引き出しから三千万の小切手を取り出すと、無表情のまま母娘の横をすり抜けていく。

菅田美幸と菅田雨子は反射的に身を縮め、疫病神でも避けるみたいに道を空けた。

――それ以来、二人は二度と、菅田美波に対して余計な欲を抱けなくなった。

菅田美波は小切手を手に、その足で加藤浩史のところへ向かった。

加藤浩史はベッドのヘッドボードにもたれ、膝に薄いブランケットをかけている。

ノックの音に顔を上げ、菅田美波を認めた瞬間、目に露骨な驚きが走った。

「美波……なんでここに?」

菅田美波は答えない。ベッド脇まで行き、小切手をサイドテーブル...

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