第36章 応急処置

環状3号線の本線に合流しようとした、その瞬間だった。

車の流れがふっと鈍り、じわじわと失速し――やがて、先の見えない車列の中で完全に息を止めた。

「おいおい、今日はなんだこりゃ」

運転手はよく喋る中年男で、身を乗り出して前方を覗き込みながら、ぶつぶつと止まらない。

「前で何かあったな。ほら、詰まり方が鉄桶みてぇだ。お嬢さん、急ぎじゃなけりゃ待つけどよ。急ぐなら、ここで降りて十数分歩けば、あの先の交差点越えたあたりで地下鉄に乗れるぞ」

菅田美波は腕時計にちらりと目を落とし、眉をわずかに寄せた。

ここで時間を捨てる趣味はない。

「降りる」

短く言い捨て、料金を払うとドアを押して降...

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