第45章 食い止める

菅田美波の声は小さく、抑揚もない。なのに毒を焼き入れした氷錐みたいに、そこにいる全員の鼓膜へ正確に突き刺さった。

記者が我に返り、目の前の痩せぎすの少女を見て、露骨に苛立ちを滲ませる。

「は? お嬢ちゃん、邪魔。こっちは忙しいんだよ!」

「美波、もういい」

加藤浩史は体勢を立て直し、慌てて彼女の袖を引いた。声を落として、切羽詰まった調子で止める。

「やめとけって……!」

こんな場面で、これ以上彼女に厄介事を背負わせたくない。

あいつらのペンとカメラは、平気で白を黒に塗り替える。

だが菅田美波は、聞こえていないみたいだった。

周囲の驚愕の視線の中、彼女は手を伸ばし――寸分違わ...

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