第55章 カンクン市に到着

彼が連れてきた親戚連中も、みな菅田宗岡の会社で飯を食ってきた連中だ。いまや誰も彼もが顔面蒼白、葬式みたいな顔で寄ってたかって泣きついた。

「英樹! 美波に頼んで、市長にひと言だけでも口添えしてもらえ!」

「悪かった! もう二度としない、頼む!」

菅田英樹は、その騒ぎに頭がくらくらした。さっきまで偉そうだったくせに、いまは掌を返して平身低頭――そんな親戚の面々を見ていると、あの娘の、冷えた横顔が脳裏に浮かぶ。

胸の奥がぐちゃぐちゃに絡まる。

英樹は小さく息を吐き、力なく首を振った。

「……今さら来ても、もう遅い」

一拍。期待に満ちた視線が集まるなか、英樹はゆっくりと言い切った。

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