第56章 夜凰帰還

菅田美波の神経が瞬時に張り詰め、瞳の奥を氷のような光が横切った。

振り向かない。代わりに、従順そのものの動きで両手をゆっくり持ち上げる。

その所作は流れるように滑らかで、銃口を向けられている人間特有の狼狽が、微塵もない。

「そこにいるのは誰だ。振り向け!」

背後から、男のしゃがれた低い声。警戒を剥き出しにした怒鳴りだった。

ナイト・オウルは、微かな呼吸の気配を拾って音もなく寄った。だが、距離を詰める前に、闇に潜む相手が後頭部に目でもあるかのように、先に降参してみせた。

異様な鋭さ。

そのせいで、ナイト・オウルは銃を握る指にさらに力を込める。

菅田美波が、ゆっくりと身体を回した...

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