第13章 牛田社長を殴る

「よしよしよし」牛田社長はずっとソファに座り、入り口からは少し離れていたため、彼らが何を話しているのか聞き取れなかった。

藤原時夜が高橋玲に自分をしっかりもてなすよう言ったのだと思い込んでいた。

高橋玲は藤原時夜に押されてよろめき、数歩後退したところを牛田社長に支えられた。

「美人さん、君の名前は?」牛田社長の分厚い手が彼女の肩をつかみ、顔には欲望が浮かんでいた。

高橋玲は頭皮がゾクゾクし、相手が背後から自分の匂いを嗅いでいるのを感じた。

本当に吐き気がするほど気持ち悪かった。

個室のドアが閉まり、黒服の人たちも退出した。

今や部屋には二人だけ。高橋玲の目の奥に一筋の冷酷さが閃...

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