第161章 

藤原家。

ちょうど正午どき、玄関先には小田おじさんが数人の使用人を引き連れて並んでいた。日差しこそ出ているものの、刺すような冷たい風が吹きつけて頭が痛くなる。

堪えきれなくなった若い使用人が口を開く。

「旦那さん、俺まだ持ち場の仕事終わってないんスけど? もうすぐ三〇分は待ってますよね、高橋さん、いつ来るんスか」

小田おじさんは微動だにせず、まっすぐ門の外を見据えたまま低く叱りつけた。

「待てと言ったら待ってなさい。口数が多いよ」

使用人はその言い方に白い目を向け、わざとらしく目をぐるりと回す。

そのとき、列の奥からざわめきが起こった。

「来た、来た、車が見えた!」

人影が...

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