第176章

人混みの中からヒューッと口笛が鳴り、冷やかすような声が飛んだ。

「足立、趣味変えたのか? 誰だよそれ。どこかのグラビアアイドルか、それともインフルエンサーか?」

足立卓夫は本来、高みの見物を決め込むつもりだったが、まさかこの場の誰も高橋玲だと気づかないとは予想外だった。

だが、考えてみれば無理もない。以前の高橋玲といえば、奇抜なメイクに、今よりずっとふくよかな体型だったのだ。藤原時夜本人が認めなければ、足立卓夫でさえ今の彼女を見分けることはできなかっただろう。

そう思い至り、彼は咳払いを一つした。

「おいおい、誰も分からないのか? 高橋玲だよ」

高橋玲――

その名は決して珍しい...

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