第181章

高橋玲は足の力が抜け、その場で少し呼吸を整えてからでないと動けなかった。

藤原時夜の手を振りほどき、低い声で告げる。

「もういい。帰るわ」

だが次の瞬間、藤原時夜の手が再び伸びてきて、彼女の手全体をその大きな掌で包み込み、強引に外へと連れ出した。

高橋玲は抵抗を試みたが、さらに強く握り締められるだけだった。結局、彼女は無駄な抵抗を諦め、大人しく彼に引かれて歩き出した。

車内に乗り込むと、彼はようやく高橋玲の手を離し、あの冷淡な仮面を被ったような態度に戻った。

二人は無言のまま後部座席に座り、空気は重く澱んでいる。ハンドルを握る運転手は心得たもので、バックミラーでその様子を確認する...

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