第195章

藤原家からM村への道のりは合計二時間半、a市のほぼ端から端までを横断する距離だ。

だが、その道中は決して退屈なものではなかった。目的地を知った桜が、まるで堰を切ったように喋り出したからだ。

M村の孤児院での幼少期の思い出話。心温まる話もあれば、胸が締め付けられるような話もあった。

助手席のボディガードさえも彼女の回想に引き込まれ、M村に対する忌避感はずいぶんと薄らいだようだ。

高橋玲は静かに耳を傾け、時折相槌を打つ。

中村韓たちをすぐに見つけられなくとも、まずは孤児院を訪ねてみるのも悪くない。

M村の入り口に差し掛かると、景色は一変して灰色のくすんだ色調を帯び始めた。

a市中心...

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