第202章

夏川風は僅かに眉を顰め、声のする方へと視線を走らせた。しかし、そこに見えたのは骨ばった手だけだ。

いったい誰だ? わざわざ俺と張り合おうなんて。

ステージ上のオークショニアが、期待を込めた眼差しで夏川風の方を向く。

「十二億! 他にいらっしゃいませんか?」

「十三億……」

夏川風が再び札を挙げる。

「十四億」

相手も即座に値を重ねてきた。

今度こそ、池島叶月はその方向を凝視し、ようやく相手の正体を捉えた。

それは、昨日顔を合わせたばかりの人物――GDグループのメークだった。

「十五億」

夏川風が札を挙げた直後、隣にいた池島叶月が彼の袖を引き、声を潜めて告げる。

「競っ...

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