第231章

二人が二、三メートルほど歩き出したところで、桜が声を潜めて尋ねてきた。

「お嬢様、あなたが言っていた里親って、まさか風間さんのことじゃないですよね?」

「そうよ、どうかした?」

高橋玲は淡々と答えた。桜が何を案じているのか、まったく理解していない。

その肯定の言葉に、桜はさらに眉をひそめて言葉を継いだ。

「でも、そんなことをしたら藤原社長が絶対に怒りますよ」

「あの男が怒る? なんで?」高橋玲は心底わけがわからないという顔をした。

藤原時夜は犬が嫌いなのだから、犬好きの里親を見つけてやるのは、どう考えても双方にとって万々歳のはずだ。桜までなぜそんなに神経質になっているのだろうか...

ログインして続きを読む