第240章

「誰だ、お前は」

女の顔をはっきりと認識した瞬間、藤原時夜は愕然とし、動きを止めた。

その隙を突き、傍らにいた風間悟司が彼を突き飛ばし、森下希羽を抱き起こした。

「大丈夫か?」

「痛い、痛すぎるわ! 膝の皮が剥けちゃったじゃない。絶対跡が残るわよ」

心配してくれる人がいると分かり、森下希羽はさらに激しく涙を流し、風間悟司の胸にすがりついて、そのシャツを涙で濡らした。

風間悟司の本来の温厚さも消え失せていた。彼は先ほど、藤原時夜が高橋玲の名を呼ぶのを聞いていたのだ。

明らかに、森下希羽は高橋玲と間違われて、とんだとばっちりを受けたのである。

もしあれが高橋玲で、先ほどのように地...

ログインして続きを読む