第50章

高橋玲が返事を送らないのを見て、綿川恵美は我慢できなくなり、直接電話をかけてきた。

高橋玲が電話に出ると、向こうから綿川恵美の明るい声が聞こえてきた。

「高橋玲、今日会社の仕事を引き継いだわ。ねえ聞いて、うちの会社が開発したソフト、最近すごく叩かれてるの。ネットの人が厳しすぎるのかと思ったら、社内のスタッフに問題があったのよ。もう腹が立って、全員クビにしちゃった!」

高橋玲は彼女が生き生きと会社での出来事を話すのを見て、思わず口元が緩み、少し冗談めかした口調で言った。

「怒ってるって言うわりには、声すごく嬉しそうじゃない」

「当たり前よ、会社の経営って思ったほど難しくないって気づい...

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