第51章

藤原グループ、社長室。

藤原時夜は手元の企画書に目を走らせていた。

もしこの企画書が彼の部下が作ったものなら、即刻解雇していただろう。

そしてこの書類の持ち主は、彼から三、四メートル離れたところで警戒心を露わにしている高橋玲だった。

本来なら高橋玲は今日そのまま帰るつもりだったが、綿川恵美から書類を受け取った後、あの日黄昏にいる時の気まずい場面を思い出した。

今は綿川家が綿川恵美の管理下にあり、今後藤原グループとの協力は避けられない。

その時になって話し合うよりも、この企画書をきっかけに双方にとって有益な関係を築いた方がいい。

高橋玲がこの考えを綿川恵美に伝えると、彼女はすぐに...

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