第9章 捕まった

高橋玲が目を覚ましたのは、午後になってからだった。

あまり安らかな眠りではなく、途中で悪夢まで見てしまった。

夢の中では誰かが彼女の名前を呼び続けていたが、広がる闇に飲み込まれ、方向が見えなくなっていた。

驚いて目を覚ました高橋玲は、もう一度眠る気にはなれなかった。

身支度を整えて階下に降りると、鈴木弁護士が待っているところに出くわした。

鈴木弁護士は手元に書類の束を積み上げ、高橋玲に座るよう促した。そして用意していた書類を彼女の方へ差し出した。

高橋玲は書類をめくりながら尋ねた。

「鈴木弁護士、これは何ですか?」

「こちらは主に高橋グループの株式譲渡書、それから財産引継ぎ書...

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