第78章 晴樹はとっくに私のために道を敷いてくれていた

「最後の大賞、いったい誰の手に渡るのかしらね」

杏璃はノートパソコンを閉じると、熊元友里絵には目もくれず、大原泰介に向かって言った。

「ここ、うるさいわ。もっと静かなところで座りましょう」

そう言い残し、杏璃は大原泰介を連れてその場を離れた。

熊元友里絵の顔色は見るからに悪かったが、それでも感情を押し殺し、先に自分の作品を提出しに向かった。

それから三十分後、提出の締め切り時刻となり、場内アナウンスでは個人デザイナーたちの通過と敗退が次々に告げられていく。

杏璃はどこまでも涼しい顔のまま、西川結人とのビデオ会議を続けていた。

西川結人はくすりと笑う。

「こんな大きな大会の最中...

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