第79章 彼が誰に勝ってほしいと思っても、負けることはありえない

「ファッションの仕事だろうと、先生だろうと……私に与えられるのは、いつだって最高のものなの」

熊元友里絵が一歩前へ出る。杏璃の間合いに踏み込み、甘く囁くように言った。

「杏璃さん。あなた、どうやって私に勝つつもり?」

杏璃は薄く笑った。挑発があまりに浅はかで、怒る気にもならない。

「実力で」

それだけ落として、杏璃は踵を返す。

熊元友里絵の言う通りだ。大原晴樹は、いちばんいい「枠」を彼女に与えている。

――だから何だというのか。

杏璃は自分の力を信じている。

男を誇示することしかできない相手に、負けるはずがない。

スタッフに促され、杏璃と熊元友里絵は最終準備を済ませ、ステ...

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