第86章 熊元家に昔日の栄光を取り戻す兆しが見えてきた

そう言われると、熊元友里絵はもう言い返さなかった。

「……分かったわ。全部、あなたの言う通りにする」

誰にも気づかれない隅で、熊元友里絵はぎゅっと拳を握りしめる。瞳の奥を、怨みの色が一瞬だけ横切った。

ここまで事が進んでなお、大原晴樹が杏璃のために熊元家の人間を海外へ叩き返さなかった――それだけでも、彼女にとっては破格の「情け」だ。

熊元家が国内に残れるなら、先は長い。岩崎家に嫌がらせをする機会など、いくらでも作れる。

杏璃はレストランを出ると、そのまま家へ戻った。さっき小池爺さんと話し合った修正点をすぐに反映し、再び机に向かってデザイン画に没頭する。

翌朝。

まだ夢の底にいる...

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