第6章
真は剥き出しになった木の根にまた足を取られ、湿った巨木の幹にかろうじて手をついて体を支えた。シャツは汗でぐっしょりと濡れ、背中に張り付いている。このジャングルに入って三日。地獄の三日間だった。
前を行くガイドがマチェーテで蔓を切り開いている。彼は振り返り、表情を読み取らせない顔でこちらを見た。
「神崎さん、本気ですかい? 駐在所まではあと六時間はかかります。暗くなる前に引き返すべきですよ」
真は顔から血と汗を拭った。腕時計はひび割れ、泥にまみれている。靴はぼろぼろだ。
「進め。引き返すためにここまで飛んできたわけじゃない」
「旦那、夜のジャングルは冗談じゃ済みませんよ。...
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