第5章

 私は振り返りもせず、身を翻してその場を離れた。

「結衣」

 背後から、結人が小走りで追いついてくる。

「怪我してないか?」

 歩みは止めない。

「平気。さっきは、助かった。出てきてくれてありがとう」

 結人は私の真横に並んだまま、ひと呼吸置いてから、低い声で確かめるように言った。

「結衣と司……本当に、終わったのか?」

「終わったよ」私は感情を殺して言い切った。

 彼は目に見えて安堵の息を吐く。

「何かあったら、いつでも言ってくれ。俺は味方だ」

 私はうなずいたが、言葉は返さなかった。次の恋だなんて、まったく興味がない。今の私の焦点は、成績と復讐――ただそれだけだった...

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