第9章

ジムから帰ってから、一睡もできなかった。

譲司のゲストルームにある柔らかなダブルベッドに横たわっていると、ジムで言われた彼の言葉が頭の中で響き続ける。「俺が愛しているのは、彼女のチャンピオンという肩書や名声じゃない。彼女自身を、ありのままの彼女を愛しているんだ」

空が漆黒から少しずつ白んでいくのを眺めながら、私は天井を見つめていた。胸の内の葛藤はますます強くなる。譲司は本当に私を愛してくれている――そのことは、もう完全に確信していた。だとしたら、この芝居を続けるべきなのだろうか?

いっそ……すべてを打ち明けるべきかもしれない。

でも、隼人と純子の裏切りは? それをただ見過...

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