第5章
さっきまで狂ったように私を道連れにして橋から飛び降りた女が、今はわざとらしく大袈裟に水面でもがいている。
岸のほうから、革靴が石を砕く足音が急激に近づいてくる。
綾人たちが到着したのだ。
――二択? 冗談じゃない。
あの男に「どちらを救うか」なんて選ばせる隙は、一ミリたりとも与えない。
私は肺いっぱいに刺すような冷気を吸い込むと、凍てつく水を搔き分け、一直線に岸を目指した。
視界の端では、桃子が相変わらず両手をバタつかせ、飽きもせず溺れる芝居を続けている。
見ているだけで吐き気がする。
私は進路を変え、波を裂く鮫のように、彼女目がけて突進した。
「な、何す...
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3. 第3章
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