第8章

 三日も経たないうちに、桃子と中村健之介の桃色遊戯の噂は、M市の裏カジノ中に知れ渡っていた。

 だが、そんな負け犬にかまっている暇は、私には微塵もなかった。七宮家の海外貿易を引き継ぎ、西野家の武力を後ろ盾にしたことで、私のビジネスはすさまじい勢いで拡大を続けていたのだ。

 そして今日の午後、突如として警報が鳴り響いた。

「奥様! 大変です!」

 倉庫の責任者が、汗だくでオフィスに飛び込んできた。

「西区の港で、うちの重要コンテナ十二基が、まるごと押さえられてしまいました!」

 私は勢いよく万年筆を机に叩きつけ、氷のような視線を向ける。

「どこの命知らずが、西野家の貨物に手を出し...

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