第8章

「ヴォルコフ」

 その一言で、場はさらに静まり返った。すべてのボスたちが頭を垂れ、息をすることさえためらっている。

 ドミトリ・ヴォルコフ。東海岸の裏社会の帝王であり、この一帯の裏社会ネットワークの八割を掌握する男。

 ニコライは驚愕に目を剥いた。「東海岸の……死神だと?」

「十年前、シカゴで私が助けた人よ」

 私はドミトリを見やり、誇らしげに口角を上げた。

 ニコライは信じられないという顔で私を見る。

「アリア、どうして君が彼と……」

 十年前、シカゴの雨の夜。学校帰りに通りかかった路地裏で、血だまりの中に倒れている男を見つけた。六発の銃弾を浴び、息も絶え絶えだった。

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