第17章

「ああ、忘れていたわ」

 私は短く答えた。

「二時間も待ったんだぞ!」

 ルカは不機嫌さを隠そうともしなかった。

 見るに見かねたケニーが、横から口を挟む。

「たった二時間ではありませんか。去年の結婚記念日、ベラ様は昼から夜まで、丸一日お待ちになったんですよ! 一昨年の記念日だってそうです。前菜も食べ終わらないうちに電話一本で出て行かれて、ベラ様をお一人残されたではありませんか。あの広い部屋に、ぽつんと……」

 ルカは目に見えない平手打ちを食らったかのような顔をした。

「それに、あの時の電話はエミアからだったわね」

 私は鮮明な記憶を突き付けた。

 ルカは口をパクパクさせた...

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