第176章

あの幹部はスティーブンの部下だ。キャレンが集めてくれた資料を思い返し、彼の名がヨセフであることを思い出した。

ヨセフは普段から控えめで、容姿も平凡だ。だが、キャレンからは特別に注意を受けていた。彼はスティーブンの腹心であり、ルカにとってのアルフに匹敵する存在なのだと。

ヨセフの何気なかった視線が、にわかに慎重なものへと変わる。彼の手にあるものを確かめようとしたが、ヨセフは素早く身を翻し、引き出しごと抱え込んでスティーブンのもとへ歩み寄った。そして、隠しスペースにあったものをすべて主の前に並べ立てた。

「何だ、それは」

マルクス兄さんが不快げに低い声を響かせる。

長兄も無表情のままヨ...

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