第232章

投票の締め切りまで、あと12時間。

私はソファに半分寝転がってパックを当てていた。少し離れたところで、マーカス兄さんがゲームをしている。

普段はシューティングばかりの兄さんが、珍しく音ゲーを触っていた。指だけはやたら器用なくせに、肝心の音楽センスが壊滅的で、ぷつぷつ途切れる旋律がしょっちゅう音程を外す。

「何の曲?」私は兄さんに聞いた。「ベートーヴェンの『運命』?」

「違う」

マーカス兄さんは無表情のままスマホを置く。

「『エリーゼのために』」

こめかみを揉み、遠慮なく言った。

「ゲーム変えなよ」

兄さんはため息をつく。

「兄貴とボーニン兄さんに言われたんだ。お前のそばに...

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