第4章

突然現れたルカに、私は驚きの声を上げた。

「どうやって入ってきたの?」

ルカは冷笑し、マーカス兄さんを睨みながら言った。

「そいつが入ったのと同じルートだ」

つまり塀を越えたということか。明日、長兄に護衛の派遣を急かさなければならない。

「入ってきたのと同じように、出て行ってちょうだい」

私は冷たく言い放った。

ルカは私の態度に刺激されたようだった。

「泥棒が入ったのかと思えば、情夫だったとはな。一体何人の男がいるんだ? いつから関係を持っていた?」

「あなたと知り合うより、ずっと前からよ」

ルカが独占欲の強い人間だということは知っている。幼い頃から一族に軽んじられてきた反動か、自分の所有物に他人が触れるのを極端に嫌うのだ。

今、ルカが私に執着し、苛立っているのは、私への愛情からではない。自分の所有物を奪われたと感じているからだ。

ルカは首を振り、言った。

「結婚前にお前のことは調べた。交友関係は単純だったはずだ。結婚後にこの三人の男と付き合い始めたのなら、俺が気づかないはずがない!」

私は鼻で笑った。

「あなたがお腹を空かせた時か、セックスしたい時しか私のことを思い出さないのに? 私が普段何をしていて、誰と会っているかなんて、知る由もないでしょう」

結婚して一年目は、確かに兄さんたちと連絡を取るのも慎重だった。バレるのを恐れていたからだ。

その後、兄さんたちの状況が好転し、私が不自由していないか心配して、たくさんの物を送ってくれるようになった。ルカは何度かそれらを目にしていたが、私が彼の金で買ったのだと思い込んでいたのだ。

ここ二ヶ月は頻繁に連絡を取り合っていた。ルカが一言でも尋ねてくれれば、その流れで打ち明けるつもりだった。だが、彼の目にはエミアしか映っておらず、私には視線の端さえ向けてくれなかった。

「裏切ったな!」

ルカは歯軋りした。

マーカスが不機嫌そうに口を開く。

「お前はベラを裏切らなかったとでも言うのか? 先月の二日、ベラが高熱を出した時、お前はどこにいた?」

「半年前、ベラが胃潰瘍で入院した時、一度でも見舞いに行ったか?」

「一昨年の三月、お前が『烈虎幇』の縄張りを奪った報復で、烈虎の弟が銀行へ向かうベラをバイクで撥ねた! だというのに、お前は翌日にはサン・カルロへ飛び、愛しのハニーに会いに行っただろうが!」

泣き出したい衝動に駆られた。

近くにいたルカは私の苦しみを知らず、遠く離れていた兄が全てを知っていた。

これが、愛があるかどうかの違いだ。

マーカスは陰鬱な表情でルカを睨みつけた。

「似たような話は山ほどある。お前にベラを責める資格があるのか?」

「黙れ!」

ルカは激昂して怒鳴り、拳銃を抜くと、瞬きする間に安全装置を外した――

私は反射的にマーカスの前に立ちはだかった。

この行動は火に油を注ぐだけだった。ルカはさらに激昂し、私に命じた。

「どけ!」

マーカスも素早く銃を抜き、ルカに狙いを定める。

「死にたいようだな!」

私がマーカスの盾になると、ルカは再び警告した。

「ベラ、どくんだ! 撃てないとでも思っているのか!」

「明日のニュースの見出しを『北城の主、妻を射殺』にしたいなら、どうぞ撃って」

私はルカが撃たないと確信していた。

「たった一発の銃弾で、あなたは後継者の資格を失うことになるわ」

笑える話だが、ヴァレリ家の男たちは放蕩者が多い一方で、妻を傷つけることは禁じられている。それは政略結婚における関係維持のためであり、感情的な忠誠は二の次でも、肉体的な安全は最低ラインなのだ。

背いた者は厳罰に処される。

ルカの兄弟たちは彼が失脚するのを今か今かと待っている。ルカがどれほど怒っていようと、衝動的に自分の未来を潰すような真似はしない。

彼は私を脅しているだけだ。従順でおとなしい妻なら、怯えて大人しく道を空けると思っているのだろう。だが、それは間違いだ。

私は従順な羊ではない。彼を愛していたから、彼のそばでは爪を隠していただけなのだ。

「俺から離れて数日で、脅迫まで覚えたか?」

ルカはまるで初めて私を見るような顔をした。その時、甘ったるい着信音が鳴り響き、私たちの対峙に割って入った。

ルカは二秒ほど呆気に取られ、ポケットから携帯を取り出した。

「エミア、少し用事が……怒らないでくれ、すぐに行く……」

マーカスが嫌そうに呟く。

「なんであんな可愛い着信音なんだ?」

「エミア専用なのよ」

と私。

マーカスは舌で頬の内側を押し、不機嫌そうに鼻を鳴らすと、電話を切ったルカを見て嘲笑った。

「お前の愛しのハニーがお呼びだぞ。尻尾を振ってワンワン鳴きながら飛んで帰れよ」

私の三番目の兄、マーカス・ソレリはかつて放蕩息子で、癇癪持ちだった。パパとママ、そして私以外、誰かが彼の機嫌を損ねれば罵詈雑言を浴びせたものだ。長兄と次兄も例外ではなく、よく喧嘩になっていた。

家が没落した後、彼は兄たちの反対を押し切って殺し屋になった。会うたびに、兄さんの口の悪さは磨きがかかっている。

ルカがこのままここにいたら、私と兄さんに憤死させられるかもしれない。

ルカは冷たい顔で立ち去った。よほど頭に血が上っていたのか、私にドアを開けさせることもなく、本当に入ってきたルートで塀を越えて出て行った。

マーカスは不満げに冷笑した。

「一発ぶち込んでやりたかったぜ」

私は兄さんの手から銃を取り上げ、放り出すと、救急箱を持ってきて包帯を巻き直した。

簡単な処置なのに、終わった頃には汗びっしょりで、両手は脱力したように震えていた。

私は幼い頃から名医に師事し、かつては「外科の神の手」と呼ばれたこともあった。もし家が滅びていなければ、医学界で確固たる地位を築いていただろう。けれど今、私はトラウマのせいでメスさえ握れない。

「ベラ? 大丈夫か?」

マーカスが心配そうに私を見る。

「平気よ」

私は微笑んだ。

「傷の状態は良好。今のところ感染や炎症の兆候はないわ。でも激しい運動は禁止よ、傷が開くから」

「分かったよ。我が家の名医様の言うことだ、大人しく従うさ」

マーカスは私の冷や汗に気づかないふりをして、甘い言葉で私を和ませてくれた。

私は兄さんに夜食を作り、客間に案内して、おやすみを言った。

翌日、マーカスに連れられてショッピングモールへ出かけた。

新港市は地図上では不規則な逆三角形をしている。北側の二分の一はルカの支配下にあり、彼は名実ともに「北城の主」だ。

南側のエリアは大きな川で隔てられ、最西端の「政府区」、川の両岸に広がる「混乱地帯」、そして東側の様々な勢力が均衡を保つ「共治区」に分かれている。

最大かつ最高のショッピングモールは、北城にある『ポリア・モール』だ。ドラッグ、爆弾、冷兵器から火器に至るまで、ここでは簡単に手に入る。ルカは世界中の富裕層を呼び込むため、「あらゆる物が手に入る」をこのモールの売りにしていた。

二時間ほど歩き回り、マーカスの両手は買い物袋でいっぱいになった。

「ベラ、次はどこへ行く?」

マーカスが楽しそうに聞く。

「『ファイブ・クローバー』へ行きましょう」

ファイブ・クローバーは高級ブランド品を扱う店だ。店内で最も目立つショーケースには、銀白色のクロコダイルのハンドバッグが飾られていた。大量のダイヤモンドと真珠が散りばめられたそのバッグに、道行く客たちは思わず目を奪われていた。

「あれはC社の新作?」

私が尋ねる。

女性店員が答えた。

「はい、世界限定15個の希少品でございます! 当店にはこれ一点のみ、数分前に入荷したばかりです。価格は18万8千ドルとなっております」

「高くないな」

マーカスは私に笑いかけた。

「気に入ったなら買いな」

女性店員がお世辞を言う。

「彼氏さんは太っ腹ですね。お出ししましょうか?」

「彼は彼氏じゃないわ」

私はカードを差し出した。

「このバッグ、頂くわ――」

「そのバッグ、私がもらうわ!」

背後から聞き覚えのある女の声がした。

振り返ると、案の定エミアだった。そして、ルカも一緒だ。

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