第43章

 轟音と共に――

 巨大な稲妻が夜空を引き裂いた。一瞬、道路は真昼のように照らし出され、すぐさま深い闇へと堕ちていく。激しい雨粒が車体を叩きつける音が、絶え間なく響いていた。

「ほんの前菜さ」

 マルクス兄さんが口笛を吹き、ブルートゥーススピーカーを取り出してサンルーフ越しに車の上に固定した。そして、嚣々(ごうごう)たる態度で後方を挑発する。

「ノロマな亀ども! もっとアクセルを踏めよ! そんなとろい走りじゃ、俺の影すら踏めないぜ? 奇跡の医師ロジャーはこの車に乗ってるぞ、ほら、追いついてみろ――!」

 ロジャーが目を剥いた。

「君の兄さんは正気か!?」

「性格が少し活発な...

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